HSPって知っていますか?
敏感で感受性が強く、繊細で傷つきやすい気質を持った人のことです。
私がこの概念に出会った時は本当に衝撃でした。
ずっと自分が苦しんでいたことの理由を見つけたんです。
PCの画面を見ながら涙が止まらず、何時間も検索し続けてしまいました。
今回は、そんなHSPについてお話ししたいと思います。
HSPとは
HSPとは、1996年にアメリカの心理学者エレイン・N・アーロン博士が考案した概念です。
Highly Sensitive Personの略で、直訳すると「感度の高い人」です。
何事にも敏感で感受性が強いため、生きづらく感じる人も多いと思います。
私も自分はなぜ人と同じようにできないのかを悩み続けていましたし、自分には欠陥があるんじゃないかとも思っていました。
けれど、HSPは病気や障害ではありません。
日本人の5人に1人がHSPと言われているのです。
HSPとは、気質です。
世の中には楽天家や好奇心旺盛な人がいるのと同じで、敏感で感受性が強い人であるというだけのことなんです。
ですから自分がHSPであることを理解すればいいだけです。
私も自分がHSPだと知ってから、すごく気持ちが軽くなりました。
では、感覚や感受性が強いHSPとは、具体的にどういう人を指すのでしょうか。
HSPの特性
アーロン博士がHSPの特性として挙げているものは4つです。
◆処理の深さ
ものごとを深く考えて処理します。言い換えれば「深読み」です。
「一を聞いて十を知る」といえば聞こえはいいかもしれませんが、ものごとの裏の裏まで考えてしまうので、一喜一憂することも。
実は入ってきた「一」の情報だけがすべてで、HSPが深読みした「九」は単なる取り越し苦労だったということも少なくないのです。
私も「石橋を叩いて渡らない」ことがしばしばあるので、周囲からは「考えすぎ!」とよく言われます。
ただ、これは裏を返せば危険予知能力が高いということだと個人的には思っています。
社会人経験の半分以上をトラックドライバーという職業で過ごしてきた私ですが、いわゆる「だろう」運転をすることはなく、特に意識することもなく「かもしれない運転」に徹しています。
◆過度に刺激を受けやすい
HSPの人は、そうでない人に比べて周囲からの刺激に高ぶりやすい性質を持っています。
たとえば五感が敏感なので、大きな音や光に圧倒されてしまうことがあります。
私は特に音に敏感で、隣の部屋で携帯のバイブだけが鳴っていてもすぐに気づきます。
大きな声でくしゃみをする人がいると、びっくりしすぎて泣いてしまうこともあります。
その他にも、テーマパークなどは楽しいのに刺激が多すぎて疲れてしまいます。
身体は疲れているのに興奮がいつまでも冷めなくて眠れないことも。
また、小さなことでも驚きやすいので、サプライズは苦手です。
さらに「人に見られているといつもの力が発揮できない」という特徴もあります。
私は昔から本番に弱い自覚があるし、トラック運転手として働いている今も、フォークリフトの操作をするときに誰かに見られていると緊張しまくってミスをしやすくなります。
◆共感能力が高い
人の喜びや悲しみ、怒りなどにすぐ共感します。まるで自分のことのように嬉しいし、悲しいし、腹が立つのです。誰かが責められていると、自分が責められているような気持ちになって居たたまれなくなります。
また、ドラマや映画、本や漫画などを読んでもすぐに入り込んでしまいます。
その結果、呆れるほどの涙もろさに。
切ない本を読めば一日中切ない気持ちになるし、理不尽なストーリーを見ると一日中腹が立っているし、自分でもどうにかならないものかと思うこともしばしばあります。
暴力シーンなどはなぜか殴るほうではなく殴られるほうに共感してしまうので、恐怖で身がすくんでしまいます。
さらには人の欲求を読み取る能力も高いので、空気を読むことに長けています。
自分への感情はもちろん、他者から他者への感情も敏感に察知するので、誰が誰に恋愛感情を持っているといったことまで気づきやすいのです。
◆些細な刺激にも敏感に反応する
HSPは五感が敏感であることは先にも書きましたが、そのため些細な刺激にもすぐ反応します。
五感すべてが敏感な人もいれば、ひとつふたつだけの人もいます。
私の場合、味覚はそれほど敏感ではないと思っていますが、それ以外は敏感です。
眩しい光は苦手で、天気のいい日に外へ出ると目玉が痛くなります。
視野が広いのは視覚が敏感なせいか分かりませんが、視界の端で何かが動くとすぐにわかります。よって、モグラ叩きの腕前はかなりのものです。
音はうるさく感じるので、一人で家にいるときはTVを点けません。
趣味で音楽をやっているくせに、「聴くぞ!」と身構えたときでないと音楽はうるさく感じてしまいますので、車の中でもいつも無音です。
トラックドライバーをやっていると、普段は他の人が乗っているトラックに乗ることも多いのですが、そのにおいに耐えられないのでファブリーズを持ち歩いています。
また、街中ですれ違う人の香水の匂いもきついし、夜の電車に乗るとお酒のにおいで気分が悪くなってしまいます。
触覚も敏感なため、ニットはチクチクするので着られないし、Tシャツのタグもすべて取ります。場合によっては服の縫い目が気になってしまうことも。
顔に髪がかかるのも嫌だし、マスクも苦手です。
HSPのセルフチェックによる診断
HSPは病気や障害ではないので医療機関にかかる必要もないため、セルフチェックが基本になります。
HSPのセルフチェックリストは、よく目にする範囲では2種類あります。
アーロン博士が作成したものと、デンマークの研究者であるイルセ・サン氏が作成したものです。
今回はアーロン博士の著書「ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。」より抜粋したセルフチェックリストを引用させていただきました。
次の質問に、感じたまま答えてください。
少しでも当てはまるのなら「はい」と答えてください。
まったく当てはまらないか、 あまり当てはまらない場合に「いいえ」と答えてください。
- 自分をとりまく環境の微妙な変化によく気づくほうだ
- 他人の気分に左右される
- 痛みにとても敏感である
- 忙しい日々が続くと、ベッドや暗い部屋などプライバシーが得られ、刺激から逃れられる場所にひきこもりたくなる
- カフェインに敏感に反応する
- 明るい光や強い匂い、ざらざらした布地、サイレンの音などに圧倒されやすい
- 豊かな想像力を持ち、空想に耽(ふけ)りやすい
- 騒音に悩まされやすい
- 美術や音楽に深く心動かされる
- とても良心的である
- すぐにびっくりする(仰天する)
- 短期間にたくさんのことをしなければならない時、混乱してしまう
- 人が何かで不快な思いをしているとき、どうすれば快適になるかすぐに気づく(たとえば電灯の明るさを調節したり、席を替えるなど)
- 一度にたくさんのことを頼まれるがイヤだ
- ミスをしたり、物を忘れたりしないようにいつも気をつける
- 暴力的な映画やテレビ番組は見ないようにしている
- あまりにもたくさんのことが自分のまわりで起こっていると、不快になり、神経が高ぶる
- 空腹になると、集中できないとか気分が悪くなるといった強い反応が起こる
- 生活に変化があると混乱する
- デリケートな香りや味、音、音楽などを好む
- 動揺するような状況を避けることを、普段の生活で最優先している
- 仕事をする時、競争させられたり、観察されていると、緊張し、いつもの実力を発揮できなくなる
- 子供のころ、親や教師は自分のことを「敏感だ」 とか 「内気だ」 と思っていた
引用元:「ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。」 エレイン・N・アーロン [著]・冨田香里 [訳] 講談社 /SB文庫
これらの質問のうち12項目以上が「はい」に該当したら、HSPの可能性が高いです。
私は20項目が該当しました。
HSPは生きづらい? HSPを自覚することの最大のメリット
確かにHSPは生きづらいと感じることが多いです。
でも、それもHSPだと自覚する前までの話でした。
自分がHSPだと知ることの最大のメリットは「もう悩まなくていい」ということです。
- 環境が変わることが怖くて転職するのに大きなエネルギーが要る。
- 人と接することが苦手で、なるべく一人でいたい。
- 外に出るとストレスが溜まり、家に帰るとぐったりしてしまう。
- 何かに集中しているときに他の用事を言われると苛立つ
- すべきことがたくさんあるとパニックを起こす
これらはすべて、私の甘えや未熟さゆえのものだと思っていました。
「他の人が普通にこなしていることが、どうして私にはできないんだろう。」
それは、私がずっと抱えていた悩みでした。
人の顔色を窺いながら生きていくことに疲れていたし、OL時代は無神経に人を傷つけることが平気な上司のおかげでうつになったこともあります。
こんな自分に嫌気がさしてしまうことばかりだったのが、HSPという概念を知っただけで目の前が明るくなったんです。
甘えや未熟さのせいではなかった。
気質だから治せるものでもない。
だから悩むだけ無駄。HSPを自覚して対処しながら生きていけばいい。
長い間ずっと悩んでいたものは、ただの気質ゆえのものだったんです。
HSPは生きづらい?
いいえ、それを自覚すればあとは簡単なのです。
まとめ
- HSPは病気や障害ではなく、単なる「人より敏感で感受性の強い気質」
- HSPの特性は「処理が深い」「刺激を受けやすい」「共感能力が高い」「刺激に敏感」
- 自分がHSPかどうかはセルフチェックである程度は診断できる
- HSPは生きづらいかもしれないけれど、自覚すれば悩む必要がなくなる
HSPを乗り越える最大の手段は「知ること」です。
これまでは生きづらかったけど、HSPを知ることができたなら、明日からは自分なりに生きていけばいいんです。
くもりのち晴れとはいえないかもしれないけれど、雨だろうがなんだろうが私は私。
5人にひとりの気質、悩む必要なんてありません。
HSPだっていいじゃない。
共感能力が高いから、人の気持ちを思いやれる人でいられるんだから。
傷ついたら「私ってやっぱりHSPなんだなあ」と思えばいいだけ。自分を責める必要なんてないんです。
もう悩むのはやめて、HSPとしての人生を楽しみましょう!
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