ストレス社会と言われているこの世の中では、HSPだろうがそうでなかろうが、誰もがうつになる危険性と背中合わせです。
かくいう私も数年前にうつを患い、底なし沼に沈んでいく思いをしました。
回復した今は過去の話として話せるけど、当時は本当に誰にも言えない中で苦しんでいたことを覚えています。
うつは最悪の場合「自殺」を選んでしまいます。
そんな選択肢が生まれる前に、「もしかしてうつかも?」と気づけるように、抑うつ状態の危険シグナルを知っておいてください。
もくじ
見落としてはいけないうつのサイン
うつになりかけている時点で、必ず何かしらのサインが出ています。
気づくのが早ければ早いほど、回復も早くなります。自分が発信している危険信号に、少しでも早く気づいてください。
・何をするにも気力が湧かない
仕事や家事など、メインにすべきことには特に気力がなくなりますが、それだけでなく「ポストから郵便物を出す」「コンビニに行く」といったことまで、とにかく何もやる気が起こらなくなってきたら要注意。
ひどくなってくると、自分の趣味だったはずのことに対してもやる気が起きなくなります。
私の場合、大好きなバンドのライブも趣味のスポーツ観戦も、なにひとつする気が起きなくなりました。これまで欠かさずに行っていたのに、です。
それでもまだ自分の状態がおかしいことに気づきませんでした。
・睡眠がおかしくなる
もともと寝つきが悪い人でも、今まで以上に眠るまでに時間がかかるようになります。
明け方まで眠れなかったり、せっかく眠れても夜中に目が覚めてしまったり。
また、逆に眠りすぎる場合もあります。
私に表れたのは不眠の症状でした。
・周りのすべてに興味がなくなる
何かをする気力がなくなることに繋がるのかもしれませんが、すべてのことに興味がなくなります。食事もそうだし、テレビを見る気も起きません。誰が自分を心配していても、それすらもどうでも良くなります。
仕事や家事などは、義務感や使命感だけでするようになります。そしてなぜか、そこから逃げることは「してはいけないこと」と思い込んでしまいます。
うつだったときの私は、休日は起きてから寝るまでずっと部屋で「体育座り」をしているだけでした。食事をしていたかどうかの記憶すらありません。
それでもおかしいと気づかないのですから、本当にうつは怖いです。
・自尊心や自己肯定感がどんどんなくなり、自殺を考え始める
自分は何をやっても駄目なんだ、とか、自分には存在する価値がないとか、とにかく自分に対する自分の評価が下がり続けます。
そこから「死んじゃえば楽になるのかな」「私は存在しない方がいいのかな」という気持ちがちらほら生まれ始めます。
この時点で、かなり危険だと思います。行動に移す人が出てきてもおかしくありません。
私の場合は、私が生まれる前に母が長男(私の長兄)を亡くしていたことが唯一の歯止めでした。子どもを二人も亡くす悲しみを母に味わわせてはいけないという思いだけで、自殺を思いとどまっていたことは確かです。
・突然泣き出すことが増える
うつになって知った、私にとっての最終危険信号です。症状や状況、性別や年齢によっても違うかもしれませんが、少なくとも私は突然泣き出す自分を制御できないことで、ようやく自分の状態がおかしいと気づくことができました。
当時は電車通勤だったのですが、駅に向かう最中に泣き出し、電車に乗っても突然泣き出し、一駅ごとに降りて泣き止むのを待ってからまた乗る、という状態でした。
もちろん仕事中も突然泣けてくるので何度もトイレに駆け込み、さすがにこのままじゃまずいとようやく精神科の門を叩いたのです。
その段階では「うつ病」の診断ではありませんでしたが、「強い抑うつ状態」という診断でした。
このように、うつには何かしらのサインがあります。
これらのシグナルをひとつでも感じたら、異変だと思ってください。そして、二つ以上のサインがあったら、迷わずうつを疑ってください。
対応が遅れると、それだけ回復も遅くなります。
抑うつ状態を自覚したら逃げること
自分の精神状態が正常じゃないと感じたら、一番大切なのは「逃げる」ことです。
うつが悪化するのは、ほとんどの場合ガマンしてしまうからです。
「この仕事を離れるわけにはいかない」
「周囲に迷惑をかけるわけにはいかない」
そういった感情が、ストレスから逃げる道を塞いでしまうのです。
近頃ニュースで耳にする、長時間労働のストレスによる自殺といった悲しい事件がその証明です。
その手のニュースが出たときに、ネットなどの反応で決まって言われる言葉があります。
「死ぬぐらいだったら辞めればよかったのに」
「死んだら何にもならないんだから、訴えればよかったのに」
これは正常な精神状態なら誰もが感じることです。
けれどうつになってしまうと、その選択肢が消えてしまうのです。
「辞めるなんて許されない」
なぜか私もそう思い込んでいました。
誰に許されないというのでしょうか。冷静に考えれば、会社がどれだけ引き止めても、家族にどれだけ懇願されても、本人が辞めると決めれば辞められるのです。
つまり誰が許さないのかといえば、自分が許さないのです。
責任感から来るのか、生活を考えると収入を途絶えさせるわけにはいかないからか。
私はその両方でした。
小さな派遣会社に勤務していた私は、スタッフさんの生活を背負っていると思っていました。それはある意味では事実かもしれません。
でも、スタッフさんの人生はスタッフさんのもの。
私が自分を犠牲にしてまで支えなくても、彼らは彼らで生きる術を探せるのです。
他の職種でも同じことです。
あなたがその仕事から逃げたとしても、会社は何とかします。
たとえあなたが会社の命運を左右するぐらい重要な役割を担っていたとしても、あなたが抜けたことで会社が倒産するなら、たった一人にそれだけ頼り切った経営をしていた会社の責任です。
お客さんに迷惑がかかったとしても、命まで奪うことにはなりません。お客さんはお客さんで、どうにかするでしょう。
大きな会社なら転勤や配置換えを希望するという方法もあります。私のように小さな会社なら、辞めてしまえばいいんです。
転職先が心配?どうにかなります。
その気になれば、収入は下がっても求人はいくらでもあります。
この世にはあなたが命を削ってまでやらなければいけないことなんて、そうそうないんです。
大切なのは「逃げる勇気」を持つことです。
自ら命を絶つほど追い込まれる前に、どうか一歩を踏み出す勇気を持ってください。
死ぬのはいつだってできるんです。今じゃなくてもいいはずです。
選択肢その1 精神科を受診する
逃げる勇気が持てなければ、周囲に背中を押してもらいましょう。
自分の精神状態が正常じゃないと自覚することは大切なことだと私は思います。
そういった意味でも、精神科を受診するのは方法のひとつです。
医師の問診を受けることで自分の苦しみを打ち明けることもできますし、臨床心理士のカウンセリングを受けることもできます。
抗うつ剤を処方されれば、プラシーボ効果も含めて、少しだけでも状態が安定します。
仕事が原因なら労災認定を受けることだってできるんです。
通院したって会社にバレることもないですし、通院の時間が必要なら「歯医者に行く」とでも言っておけばいいんです。
まずは動くこと。
今の状態から抜け出すためには、何かしないと始まらないんです。
選択肢その2 電話やメール相談を利用する
精神科には行きたくないけど誰にも相談できない、家族に迷惑がかかるし友達もいない。
そんなことを考えてしまっていませんか?
実は誰にでも、相談できる相手はいるんです。
「いのちの電話」や厚生労働省の相談窓口「こころの耳(厚生労働省)」といった、いろんなサービスがあります。
迷惑だとか恥ずかしいだとか、そんな感情は必要ありません。
彼らはそれが仕事であり、悩みを相談する人がいなければ彼らの仕事がなくなってしまいます。
あなたが悩みを打ち明けることは、彼らのためでもあるんです。
むしろ相談することが人助けになるんだと思えば、ハードルは一気に下がりませんか?
あなたが相談することで、彼らは自分の仕事に満足感を得られる。
そしてあなたは少しでも一歩踏み出すことができる。
どちらにとってもデメリットなんてひとつもありません。
まとめ
うつの危険シグナル
- 無気力
- 睡眠障害
- 周りに興味がなくなる
- 自尊心や自己肯定感の低下、自殺を考える
- 突然泣き出す
抑うつ状態を自覚したら逃げること
選択肢その1 精神科を受診する
選択肢その2 電話やメール相談を利用する
ひとりで苦しみを抱えがちな「うつ」。
でも、どうか一歩だけ踏み出す勇気を持ってください。
会社を辞めたことで、私は嘘みたいに回復しました。
周囲からも「笑顔が戻った」と言われ、やっぱり心配をかけていたんだなと思います。
あなたにも早く笑顔が戻るよう、ネットの片隅で祈っています。
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